今回の記事は【ボサノバを聴きたい】シリーズですが、それと重ねて、写真は記憶の中のブラジルの街のイメージを追ってみたいと思います。
最初の1枚はリオの海岸です。
サッカーというよりは、ボール蹴って遊んでるだけですが、とにかく彼らはそこら辺中でボール蹴ってます。
それは日本ではありえないぐらい。
もくじ
セルソ・フォンセカ ボサノバの新解釈
今回紹介するのはセルソ・フォンセカ。
ブラジル、リオ・デ・ジャネイロ生まれのアーティストです。
ネオ・ボッサなどとも呼ばれる現代的なボサノバを聴かせてくれます。
ボサノバをベースにし、アダルトでアーバン。
メロウな曲も多く、ポップス色も濃いので、そういう意味でも楽しめるのではないかと思います。
写真はリオのコパカバーナ海岸。
まさにリオって感じの夕暮れです。
お洒落な夜が始まりそうじゃないですか。
デジタルを上手くボサノバに
セルソ・フォンセカは、どちらかというとアコースティックでアナログな世界であったボサノバに、コンピュータやエフェクト処理といったデジタルも取り入れ、自由に発展させてきた人。
かといって極端に走るのではなく、伝統的なボサノバのフレームワークは守り、ボサノバが持つサウダージな部分、メロウでアンニュイな部分などはキープしています。
そこがセルソ・フォンセカのいいところなのですが、ボサノバの核の部分は絶対に外さない。
ですので、そこは安心して聴けます。
写真は南米でも最大級の大都市サンパウロの夜景。
オリベイラ橋という特徴のある巨大な吊り橋です。
ブラジルってアマゾンなんかのイメージが強いですが、大都市は大都市なんです。
セルソ・フォンセカ、都会の夜
チル系のコンピュータ音楽とボサノバは考えてみれば、それほど遠くない。
セルソ・フォンセカの音楽は夜の都会のイメージが多いですが、上手くチル系のデジタルを取り込んでると思います。
どちらもある種のセンチメンタリズムを持つものですし、上手くやれば新たな角度から上質な切なさのある音楽を産み出すことは可能だったのでしょう。
ただ、ボサノバのアーティストは、アナログなアプローチであまりにも完成された世界観を作り上げていたために、そういう必要性を感じていなかったのかもしれません。
そこにセルソ・フォンセカは、あまり気負いは感じさせないやり方で、デジタルを持ち込みました。
ブラジル人らしい自然でおおらかな感性で、デジタルをボサノバに取り込んだように思います。
写真はサンパウロの夜景です。
イビラプエラ公園という南米でも最大級の街中の公園が左側に広がってます。
この写真の右の端っこ辺りに住んでました。
デジタルを取り込んだアルバム
1999年のアルバム『Natural』は、こうしたデジタルとの融合を試みた佳作。
このアルバムを聴くと、アコースティックなボサノバに重ねて、その当時に流行っていたデジタルのエフェクト処理をした音が聴いてとれたりします。
かといってそれを押し出しているわけでもなく、アルバムはあくまでボサノバです。
写真はリオの有名なコルコバードの丘。
キリスト像がリオの街を見下ろしています。
何だかドラマチックですよね。
そしてその後もデジタルとボサノバのマリアージュのような作品が時折、リリースされています。
例えば2018年のアルバム『Turning Point』などもそうですね。
このアルバムはそこかしこにAOR(古い…)みたいな雰囲気も感じさせるアーバンな作品。
上手く隠し味的にデジタルな音が使われています。
写真は前出のイビラプエラ公園の日中の写真。
とにかく広い公園なんです。
とても全部は歩けません。
アコースティックな良いアルバムも
かと思いきや、2015年のアルバム『Like Nice』などは、全然デジタルは登場しないです。
このアルバムはすごく好きなのですが、ストリングスとギター、そしてローズピアノなんかが上手く使われていて、切ない大人な雰囲気の曲が多くて、染み入ります。
5曲目の『Road To Paradise』とか、素敵です。
そうですね、このアルバムが一番好きかもしれません。
何だか幸せにセンチメンタルになれるというか。
写真はサンパウロの大通りのひとつ。
大通りに迫る木々が緑の勢いを感じさせますが、同時に車も多く、経済的な発展も。
自然と経済のミクスチャーというのはブラジルのイメージのひとつです。
作詞家のロナルド・バストスと組んだコラボも良いです
セルソ・フォンセカが作詞家のロナルド・バストスと組んだコラボレーションのアルバムがいくつかあるのですが、これも良いです。
アルバムとしては1994年の『Sorte』、2000年の『Paradiso』、2003年の『Juventude / Slow Motion Bossa Nova』とかです。
夕食時に掛けて美味しいお酒やおつまみとともに楽しんだら、きっと会話をプッシュしてくれるんじゃないかと思います。
どのアルバムもそうですが、セルソ・フォンセカの優しい歌声に加え、ポルトガル語がすごく良い雰囲気。
英語や日本語とはまた違った語感が心地よいのです。
時々は英語でも歌いますが、ポルトガル語で歌ってる方が好きですね。
写真はサンパウロの最も栄えている大通りアベニーダ・パウリスタ。
両側にビルが立ち並んでいます。
丸の内とか銀座辺りの雰囲気ですかね。
でもね、この通りで黒人のお兄ちゃんにカツアゲされたことあるんです…。
セルソ・フォンセカの洗練と一途さ
曲はいわゆるボサノバの名曲達とは少し違った感じのオリジナル曲が多いです。
基盤にあるのはボサノバで、そこは間違いないのですが、さらに洗練された感じというか。
ボサノバを新しい解釈で作り続けてきた人です。
そしてどこまでもメロウで、甘く切ない。
すごく一途にこの路線を追求してるんですが、そこがすごく好きですね。
それが一番現れているのが、『Turning Point』の最後の曲、『Delicadeza』とかです。
セルソ・フォンセカを評するコメントには、よくアーバンって言葉が使われています。
まさにそういう印象で、都会の夜を感じさせる曲が多いです。
リオやサンパウロの大都会の夜って感じですね。
写真はサンパウロの街並みを空撮したもの。
初めてサンパウロを見たときに、ビルの多さにびっくりしたんです。
その雰囲気が伝わりますかね。
ボサノバを聴いて良いなと思って、人気のあるアルバムをいくつか聴いてみたら、その次にぜひ聴いてみてください。
また、新しいボサノバの魅力に気づくと思います。
リオもサンパウロもすごく大都会なんですよね。
セルソ・フォンセカを聴きながらブラジルの都会の夜を想像してみては。
なかなかね、スリリングな大都市だと思います。
セルソ・フォンセカに合わせるなら、同じブラジルのこんな豆はいかがでしょう?
『太陽の恵み』シリーズから、イパネマ農園です。