Kalita ドリッパーとHARIOV60ドリッパーを徹底比較します!
数あるドリッパーの中で、この2つのドリッパーは双璧をなしていると言ってもよいのではないでしょうか。
ちょっと調べだすと、よく登場するので、どっちがいいんだろうと思うのでは。
どちらも初めてのドリッパーとして間違いはない製品です。
でも実はこの2つのドリッパーは構造や、できるコーヒーの味わいには結構違いがあります。
それでは、どこが違うのか、徹底比較してみたいと思います。
(この記事では2〜4人用のドリッパーで解説しますが、1〜2人用でも基本的に同じです)
もくじ
Kalitaのドリッパー
ハンドドリップといえば多くの人のイメージに浮かぶ台形のドリッパー。
喫茶店のマスターがハンドドリップしてそうな、あれです。
Kalitaの扇型ドリッパーはこちらの系列。
HARIOのドリッパー
そしてサードウェーブの流れと共にスターダムにのし上がったHARIOV60ドリッパー。
2010年ワールドブリュワーズカップの優勝者が使用したことで人気を不動のものとしました。
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https://www.hario.com/sp_v60series.html
容器としての形状の違い
Kalita 102-D 扇型
注がれたお湯は一旦底面の平らな部分に溜まりますが、三つ穴のため比較的短い時間でサーバーへと落ちていきます。
この形が、お湯がドリッパー内に滞留してコーヒー豆と接触する時間を程よく作り出すことで、適度なコクを生み出しているように思います。
これぞコーヒーっていう味わいに淹れられます。
本体サイズ | 幅 126 × 奥行 106 × 高 85 mm |
本体重量 | 68g |
HARIO V60 円錐形
円錐形で、注がれたお湯はKalita 102-Dよりもさらに直にサーバーへと送り出されるイメージです。
実際にはペーパーフィルターがあるのでお湯が滞留するのですが、次に見るように穴が大きいので、お湯が落ちるスピードは速いです。
そのせいか淹れ方によってはかなりスッキリ味に仕上げることが可能です。
浅煎りのフローラルな豆と合わせると、高級な紅茶に通ずるような仕上がりになります。
本体サイズ | 幅 137 × 奥行 116 × 高 102mm |
本体重量 | 108g |
大きさ的には、HARIO V60の方が少し大きめ。
並べるとこんな感じです。
ただ、使用する際には、あまり大きさの違いは感じないです。
お湯が落ちる穴の形の違い
Kalita 102-D 横並び三つ穴
この三つの穴がある構造が1番の特徴です。
ドリッパーの容器としての形状は、ペーパードリップを考案したMelittaも同じですが、Melittaの方は一つ穴です。
Kalitaは三つ穴のため、早めにお湯が落ちていくので、濃くなりすぎず雑味が少ない仕上がりになります。
HARIO V60 大きな一つ穴
パッと見てわかるように、かなり大きめな穴が開いています。
この大きな穴がHARIO V60の最大の特徴で、このおかげでコーヒーの仕上がりを柔軟に調整することができます。
上級者に好まれる理由は、この味の調整が利くところではないでしょうか。
この穴の形状、大きさの違い。
これがこの2つのドリッパーの性格を決めている最大の要素です。
三つ穴で適度に早くお湯が落ちるKalitaは、安定的な味わいの仕上がり。
大きな一つ穴のHARIOは、お湯の注ぎ方などで味わいの変化を付けやすい。
逆に言えば、Kalitaは失敗しにくいけど、変化を付ける幅は限られている。
HARIOは調整が効きやすいけど、失敗もありうるってことですね。
リブの違い
Kalita 102-D 直線のリブ
真っ直ぐなリブがいっぱい付いており、ドリッパー壁面とペーパーフィルターの間に適度に空間ができるようになっています。
平らな部分には片面9本、丸い部分には長短合わせて11本、それが掛ける2で合計40本のリブです。
HARIO V60 螺旋状のリブ
螺旋状のリブが側面にぐるっと付いているので、フィルター紙がドリッパーに張り付かず、お湯が下部の穴に向かって滑らかに流れ落ちていくようになっています。
長いリブが12本、短いリブが12本の合計24本のリブです。
このリブに関しては、両方のドリッパーとも、ペーパーフィルターへの対応はしっかりできているので、あまり差は無いと考えて良いと思います。
価格の違い
プラスティック製は、かなり安価です。
定価はKalita 102-Dが本体価格 400円、HARIO V60が450円。
プラスティック製は、落としても割れたりしないし、軽くて扱いやすく、経済的です。
唯一デメリットがあるとしたら、高級感がないことでしょうか。
とはいえ、普段使いにはとても良いと思いますし、初心者が買いやすいのは大きなメリットですよね。
Kalita 102-D
HARIO V60 透過ドリッパー 02 クリア
価格はあまり差はなく、両方とも実売価格で300円台なので、本当に迷ったら、実は両方とも購入して試してみることも可能です。
価格は、次の素材のバリエーションで大きく変わってきます。
素材によるバリエーション
プラスティック製以外に、以下のようなバリエーションがあります。
セラミック
Kalita 102 ロト
Kalita 102には『ロト』という名前が付いている陶器製があります。
扇型ドリッパーとしては、この陶器製の方がイメージが定着しているかもしれません。
陶器は金属やプラスティックに比べると温めるのに若干時間を要するけれど、一度温まると冷めにくいという性質があります。
ロトを使う時は、挽いた豆をセットする前にお湯を一回通して温めるようにすると良いです。
Kalita HA102
Kalitaには見た目ロトにソックリですが、HA102という磁器のドリッパーもあります。
波佐見焼で綺麗な白です。
ロトがほんわかした優しいお姉さんだとしたら、こちらはスッとした美人のお姉さんみたいな感じです。
値段はちょっと高めです。
HARIO V60 セラミック
V60にも、同じようにセラミックがあります。
ロトは陶器ですが、V60のセラミックというのは有田焼で磁器ですので、位置付け的にはHA102に近いですね。
色は赤と白があります。
HARIO V60 粕谷バリスタ ver.
WORLD BREWERS CUP2016年度優勝者(アジア初)の粕谷哲氏プロデュースというモデルがあります。
リブがちょっと違っていて、濃度の高いコーヒー抽出が可能なモデル。
ブラックでカッコいいですね。
ガラス
Kalita 102はガラスバージョンはありませんが、HARIO V60にはガラス製があります。
HARIO V60 耐熱ガラス
V60はガラス製に、ホルダー部分がプラスティック製とオリーブウッドの2つバージョンがあります。
プラスティックのホルダー
オリーブウッドのホルダー
ガラス製は、やっぱり見た目が綺麗です。
それとこのHARIOのオリーブウッドのように、木と組み合わさると高級感が出ますね。
金属製
金属製は、ステンレスか銅製になります。
Kalitaの方は、ステンレスのモデルは無いですね。
HARIO V60 ステンレス
HARIO V60のステンレスは3色展開で、シルバー、カパー、マットブラックです。
マットブラックがカッコいいですね。
Kalita 102-CU 銅製
そして最後に銅製です。
実売価格でプラスティック製の10倍ぐらいなので、だいぶ違いますね。
HARIO V60 カパー
V60も銅製がありますが、こちらもやはり実売価格はプラスティック製の10倍ぐらいです。
やっぱり銅製は高級感があります。
高いですが、その分気分良く淹れられて満足感は大きいと思います。
それと金属製は熱伝導が良いので、ドリッパーの温度がすぐに上がって、抽出したコーヒーも温度が下がらないという利点があります。
抽出されるコーヒーの味わいの違い
さて、最後に抽出されるコーヒーの味わいの違いというか、傾向についてです。
ものすごく大雑把に言えば、こんな感じです。
Kalita 102-D 苦味・コク系が得意
HARIO V60 酸味・スッキリ系が得意
これはどちらかと言うとという分け方なので、HARIO V60では苦味が出ないとか、Kalita 102-Dでは酸味が出ないということではありません。
酸味、苦味、コク、スッキリは挽き具合、焙煎度合いやお湯の温度などでも全然違ってきますので、最終的にはさまざまな要素の組み合わせで決まります。
ただ、ドリッパーの形状で出しやすい味わいの方向性はあります。
Kalita 102-Dは三つ穴で比較的お湯の落ちる速度は早いとはいえ、HARIO V60の大きな穴の方がその辺りの調節は幅が大きく、同じ挽き具合、焙煎度合いならV60の方がスッキリに持っていきやすいと思います。
HARIOとKalitaどちらが正解か?
如何でしたでしょうか。
実はかなりドリッパーによって違いがあることが分かったかと思います。
それではドリッパー選びに正解はあるのか?
いろいろ考えてみましたが、やっぱり正解は無いです。
自分で両方使ってみて、「ああ、なるほど」って納得するのが一番いいかなと思います。
コーヒーの味わいをどう思うか、感じるかは、最後は個人の感覚になっちゃいます。
コーヒーの良いところはそこだと思うのですが、自分が美味しいと思えばそれでいいんですよね。
どちらもコーヒーを良く知るメーカーによって作られた素晴らしい道具です。
だから、どちらを選んでも大丈夫です。
どちらを選ぶかは、どう楽しみたいかによるのかもしれません。
まず落ち着いてコーヒー淹れてから何か考えるのであれば、Kalita 102-D。
安定してますから、安心して淹れてみてください。
どんなコーヒーを飲みたいかいろいろ考えて、その過程を楽しみながらコーヒー淹れたいのであればHARIO V60。
変化球が得意ですし、出したい味わいに近づけるのは楽しいです。
さて、あなたならどちらを試してみたいですか?
いろいろ試して、お気に入りのドリッパーを探す旅に出てみても面白いと思います!