人気ドリップポットの徹底比較と良いドリップポットの選び方
ハリオ、珈琲考具、タカヒロという人気ブランドのドリップポットを徹底比較・レビューします。
その上で、良いドリップポットの選び方をまとめています。
製品の比較・レビューに行く前に、まずなぜ良いドリップポットが要るのかを説明します!
先に比較が見たければ、飛ばしてもOKです。
うまくお湯を注ぐにはドリップポットが必須
ハンドドリップで淹れるコーヒーの味わいを決める要素はいろいろあります。
コーヒー豆の品質が大事なのは言うまでもありませんが、他にも焙煎度合い、コーヒー豆の挽き目(メッシュ)、お湯の温度、お湯の注ぎ方、抽出時間の長さ、水質、ドリッパーの形状、ペーパーフィルターの品質などなど、さまざまな要素が影響します。
いろいろあるんですが、実はほとんどの要素が「何を選ぶか」とか、「これぐらいにする」という選択でコントロールすることができるモノが多いです。
そうした中で、唯一テクニック的な要素があるのが「お湯の注ぎ方」です。
そして上手くお湯を注げるようになるためには、お湯を注ぎやすいドリップポットが必須なんです。
注ぐお湯のコントロールがしやすいこと。
これが非常に大事です。
必要なコントロールにも2種類あります。
- お湯を注ぐ量のコントロール
- お湯を落とす位置のコントロール
この2つ、少し詳しく内容を書きます。
お湯を注ぐ量のコントロール
ハンドドリップをしていると、実は注ぐお湯の量を変えたいと思うことが多々あります。
「点滴」と言われるような1滴ずつお湯を落としたいような場面や、少し多めにお湯を注ぎたいような場面まで、注ぐ湯量を変えたい時は多いんです。
例えば・・・
- 蒸らしのために少量のお湯を静かに注ぎたい
- ドリッパーの中心にコーヒードームを作るために最初は点滴でお湯を落としたい
- 第3投以降では手早く多めにお湯を注ぎたい
とか、一回のドリップの中でもいろいろとお湯の量のコントロールをしたくなります。
お湯を落とす位置のコントロール
お湯を落とす位置ですが、狙ったところに落とせないと結構ストレスです。
量のコントロールでも書きましたが・・・
- ドリッパーの中心にお湯を落としたいと思って注いだら端の方にずれた
- コーヒー粉の壁は崩したくないと思っていたのに端の方までお湯が掛かって壁が崩れた
とか、そういうことが毎回起こると嫌ですよね。
心穏やかに美味しいコーヒーを淹れるという行為を楽しみたいですよね。
でも、お湯を注ぐたびに「あっ、失敗した」とか思うのでは台無しになってしまいます。。。
お湯を注ぐ量のコントロール、お湯を落とす位置のコントロール。
この2つがやりやすいのがコーヒー専用のドリップポットです。
グースネックといわれる細くて長い注ぎ口が付いたハンドドリップ用のポットです。
ドリップポットを使うと、この2つのコントロールが格段にやりやすくなります。
そして、この2つがコントロールできると、結果として抽出時間とお湯とコーヒー粉の接触の仕方をコントロールできるようになります。
これについても少し詳しく書きます。
抽出時間をちょうど良い長さにする
抽出時間はコーヒーの味わいに大いに関係します。
なぜかというと、お湯がコーヒー粉と接触している時間によって、コーヒー豆から抽出される成分の量や中身が変わってくるからです。
そしてすごく大事なのは、長すぎる抽出時間は雑味やエグミにつながるので避けなければならないということ。
コーヒーの抽出では、後半になるほど雑味やエグミが増えるということが知られています。
一方で、抽出時間が短かすぎると美味しい成分が抽出され切らずに薄いコーヒーになってしまいます。
つまり、美味しいコーヒーにするためには、適度な長さの抽出時間にする必要があるのです。
ずっとチビチビとお湯を注げば抽出時間は長くなりますし、ドバドバとお湯を注ぎ続ければ抽出時間は短くなります。
チビチビでもなくドバドバでもダメなわけですね。
1回のドリップが全体として適切な抽出時間になるように、注ぐお湯の量をコントロールする。
そうすれば、美味しいコーヒーができます。
そのために、ドリップポットが必要なんです。
お湯とコーヒー粉をうまく接触させる
もうひとつ美味しいコーヒーにするために重要なことがあります。
それはお湯とコーヒー粉の接触の仕方をコントロールすることです。
ハンドドリップでは何度かに分けてお湯を注ぎますが、これには意味があります。
第1投は「蒸らし」とも言います。
この蒸らしの時には、やや静かめにお湯を注ぎ、ドリッパーに入れたコーヒー粉全体に均等にお湯が行き渡るように注ぎます。
蒸らし
この蒸らしでお湯を注ぐのは、本格的な抽出の前段階としてコーヒー粉全体を湿らして、第2投以降で抽出ムラが少なくなるようにするのが目的です。
それを上手くやるためには、コーヒー粉全体にお湯を均等に浸透させていくような注ぎ方にします。
次の第2投が美味しいコーヒーを作るのに最も重要な段階です。
この第2投では蒸らしの第1投よりも多め・速めにお湯を注ぎますが、かといって多すぎても速すぎてもいけません。
1回のドリップの中で、もっとも美味しいコーヒーの成分を抽出するのが第2投。
お湯がコーヒー粉と接触する時間を確保し、美味しいコーヒー成分が溶け出したお湯が適度にサーバーに落ちていくように注ぐ量と注ぐ位置をコントロールします。
第2投
注ぎ方としてはドリッパーの中心に500円玉ぐらいの円を描くようにします。
第3投以降は、第2投と同じようにできる限り均等にコーヒー粉とお湯がコンタクトするように小さな円を描くように注いでいきます。
ただし、全体の抽出時間を意識して、第2投よりも手早く注ぎます。
こうしたお湯とコーヒー粉の均等な接触を実現するには、繊細にお湯を落とす位置のコントロールができることが必要です。
やっぱり良いドリップポットがあるといいですね。
仕上げのステップをあなたならどうする?
コーヒーはある意味非常に単純な飲み物で、お湯とコーヒー豆しか要素がないわけです。
ところがその味わいはとても変化に富んでいます。
単純なのですが、コーヒーは微妙なさじ加減の積み重ねで、美味しくも不味くもなるという性質の飲み物です。
そしてこのお湯を注ぐ部分は、ハンドドリップの最終ステップ。
そこまでに、コーヒー豆の選択、焙煎度合いの選択、挽き具合の選択、水の選択、ドリッパーの選択、湯温の決定などなど、さまざまな選択を積み重ねて、最後にコーヒーを完成させるための仕上げの手順です。
そこに求められるのは慎重かつ繊細なコントロール。
さて、どうでしょう。この仕上げのステップ、ヤカンで注ぎたくなりますでしょうか?
人気のコーヒードリップポット徹底比較
ここで人気のドリップポット3つの徹底比較です。
今回は次の3つのドリップポットをレビューします!
- ハリオ V60 ドリップケトル・ヴォーノ
- 珈琲考具 ツードリップポット
- タカヒロ コーヒードリップポット 雫
まずは簡単な紹介から。
ハリオ V60 ドリップケトル・ヴォーノ
ハンドドリップ初心者からコーヒー通まで、幅広く人気のハリオ V60 ドリップケトル・ヴォーノ。
買いやすい価格、使いやすさ、デザインと三拍子揃ったハリオの傑作ドリップポットです。
アマゾンで500mlが税込2700円(2021年3月7日現在)。
珈琲考具 ツードリップポット
コーヒー好きに人気のブランド珈琲考具が出しているこだわりのドリップポット。
そのどこまでも真下にお湯が落ちていく注ぎ口は、どんなドリップの場面でも的確にあなたをサポートします。
楽天で税込5280円(2021年2月25日現在)。
(ツードリップポットは長いので「TDP」と省略します)
タカヒロ コーヒードリップポット 雫
ハンドドリップ愛好家が最後にたどり着く逸品、タカヒロのコーヒードリップポット。
新潟県燕市で製造される雫シリーズは極細の注ぎ口で、点滴も、細くお湯を注ぐことも思いのまま。
アマゾンで税込8978円(2021年2月25日現在)。
ということで、値段も初級、中級、上級といった感じで上がっていきますが、どれもとても人気のあるドリップポット。
では次に、それぞれのドリップポットの特徴を比較していきましょう。
ハリオ・珈琲考具・タカヒロの徹底比較① 仕様
今回はコンパクトな大きさの500mlで比較していきます。
500mlは一人用としてもちょうど良い大きさ。
ハリオとタカヒロは、容量の大きなモデルもあり、少し性能や機能が違うこともあるので、気がついたとこはコメントしますね。
ハリオ・珈琲考具・タカヒロ カタログで分かること
まずはカタログや取扱説明書などで分かることを整理してみました。
ハリオ V60 ドリップケトル ヴォーノ 500ml |
珈琲考具 ツードリップポット |
タカヒロ コーヒードリップポット 雫 0.5L |
|
本体サイズ(mm) | 幅255 × 奥行115 × 高140 | 幅255 × 奥行130 × 高さ110 | 幅240 × 奥行110 × 高さ130 |
底径(mm) | 表記なし | 115 | 約110 |
開口部(mm) | 71 | 85 | 85 |
注ぎ口(mm) | 表記なし | 内径 4.5 | 従来品より4mm細い |
容量 | 満水700ml 実用500ml |
満水750ml 適正500ml |
500ml (2~4杯用) |
材質(本体) | ステンレス | ステンレス (18−8) |
ステンレス (18−8) |
材質(フタ) | ステンレス フェノール樹脂 |
ステンレス (18−8) |
ステンレス (18−8) |
材質(底面) | ステンレス | ステンレス (18−0) |
ステンレス (18−8) |
材質(持ち手) | フェノール樹脂 | ステンレス (18−8) |
ステンレス (18−8) |
重量 | 表記なし | 325g | 310g |
電磁調理器(IH) | IH不可だが、以下は対応 エンクロヒータ、ラジエントヒータ、ハロゲンヒータ、シーズヒータ |
可 | 表記なし |
直火 | 可 | 可 | 可 |
食洗機 | 表記なし | 可 | 表記なし |
生産国 | 中国製 | 日本製 (新潟県燕市) |
日本製 (新潟県燕市) |
定価(税込) | 3850円 | 5280円 | 18700円 |
このカタログベースで分かる大きな違いは4つ。
- ハリオ V60はやや縦長で開口部が狭く、珈琲考具TDPとタカヒロ雫は幅広で背は低め
- ハリオV60 500mlのみIHは明らかに不可
- ハリオV60 500mlのみ中国製
- 定価がかなり違う
1はデザインの好みもあるかもしれませんが、後で見るように使い勝手にも関係しています。
2は少し選ぶ人が減ってしまうポイントかもしれません。
3は価格かなと思いますが、使っていて実用上困ることはないです。
4は実売価格ではここまで差はなく、タカヒロは1万円は切っています。
実はハリオの場合、600ml以上はIH対応ありなので、IHを使いたい人は600mlを選ぶと良いと思います。
アマゾンの実売価格は600mlの方が安かったりしますので、こちらが買いかもしれません😅
ハリオ V60 ドリップケトル・ヴォーノ 600ml
ハリオ・珈琲考具・タカヒロ 容量の比較
今回の比較では、ハリオV60、珈琲考具TDP、タカヒロ雫ともに500mlになります。
いずれも比較的小さめのサイズです。
これぐらいのサイズだとハンドドリップをやる場合も扱いやすいです。
細かなコントロールをしようと思うと、あまり大きなサイズだと重いですしね。
製品としてはハリオV60ドリップポット・ヴォーノは3種類の容量が選べます。
500ml、600ml、800mlの3種類です。
ハリオ V60 ドリップケトル・ヴォーノ 800ml
珈琲考具ツードリップポットは500mlのみ。
タカヒロのコーヒードリップポット雫は0.5L、0.9Lの2種類。
雫は0.9Lもとても人気があります。
タカヒロ コーヒードリップポット雫 0.9L
注ぎ口が極細ではない通常バージョンはこちらです。
タカヒロ コーヒードリップポット 0.9L
雫ではない通常の注ぎ口バージョンの場合は1.5Lもあります。
タカヒロ コーヒードリップポット 1.5L
通常の注ぎ口バージョンでも0.5Lがあります。
ということで製品としての容量の選択肢はハリオV60が一番多いですね。
ハリオ・珈琲考具・タカヒロ 本体重量の比較
ハリオ V60 ドリップケトル ヴォーノ 500ml |
珈琲考具 ツードリップポット |
タカヒロ コーヒードリップポット 雫 0.5L |
|
ポット本体(実測値) | 267.8g | 319g | 239.5g |
フタ(実測値) | 57.7g | - | 80.5g |
合計 | 325.5 | 319g | 320g |
こうしてみると、案外フタって重いんですね。
この3つの中では珈琲考具TDPがやや大柄なので、本体のみでも比較的重量があります。
ただ、いずれにしても重すぎるようなことはなく、操作性は良いです。
僕は個人的にはドリップポットにフタは要らない派なので、タカヒロもフタしないで使っちゃってます。
ただ、後で見るようにフタの有無は保温性に関係してきます。
湯温が気になる人は下の方の保温性の比較を見て考えてみてください。
フタをしなくても、こぼれるほど傾けるようなことはないので、そういうことでは困らないかと思います。
ハリオ・珈琲考具・タカヒロ 電磁調理器(IH)は使える?
カタログではこうなっていますが、実際どうなんでしょうか。
ハリオ V60 ドリップケトル ヴォーノ 500ml |
珈琲考具 ツードリップポット |
タカヒロ コーヒードリップポット 雫 0.5L |
|
電磁調理器(IH) | IH不可だが、以下は対応 エンクロヒータ、ラジエントヒータ、ハロゲンヒータ、シーズヒータ |
可 | 表記なし |
タカヒロの雫0.5L IHヒーターとの組合せによる
よくネットでもタカヒロの0.5LはIHが使えるだの使えないだのと書かれています。
結論としては、IHヒーターの仕様によるというのが正解です。
タカヒロの雫0.5Lは底面の大きさ(底径)が約11cmです。
お使いのIHヒーターの仕様が、最小底径10cmとか11cmであれば使用可能ということです。
12cm以上の底径からしか対応していないIHヒーターであれば、雫の底径が小さすぎて反応しないので使えないということになります。
組み合わせの問題ですね。
ちなみに僕がいつも使っているIHヒーターは使えてます。
こちらの製品ですが、底径10cmの鍋やポットから使えます。
ドリテック IH クッキングヒーター ピッコリーノ
小型で人気の製品ですが、小さくて場所も取らず、デザインもスッキリしていておすすめです。
20.5cm x 20.5cm x 5cm ととても小さめです。
ハリオから出ている「ドリップケトル用温度調節IHヒーター」がそっくりなんですよね。。。
もしかしてOEM製品なのかなと思いますが、確証はないです。
ハリオ・珈琲考具・タカヒロ 直火はOK?
いずれのドリップポットも直火OKです。
僕はIH派なのですが、直火派の人も多いのかな。
ただちょっと要注意は珈琲考具ツードリップポットとタカヒロの雫は、直火だと持ち手が熱くなる場合があるということ。
IHで加熱した場合は沸騰した直後でも持てますが、下で書いている「持ち手」についての比較でタカヒロの注意点を確認してください。
ちょっとついでにポットの裏側とか見ておきますね。
ハリオ V60はちょっと凸凹です。
珈琲考具TDPは下からみるとノぺっとした感じで、真っ平らです。
タカヒロは継ぎ目が分からないですが、実は下の部分は溶接されています。
下の写真を見てもらうと注ぎ口の下あたりに溶接の後が確認できます。
でも外側からだと全然分からなくて、ピカピカです。
ハリオ・珈琲考具・タカヒロの徹底比較② 操作性
ここからは、カタログやスペックでは分からないところも比較してみます!
ハリオ・珈琲考具・タカヒロ 保温性の比較
これはちょっと実験してみました。
【実験の手順】
- 100度まで沸騰させる
- お湯の温度が92度になったところから時間を計り始める
- 30秒毎にお湯の温度を記録
- 3分間経過したら終了
その結果は以下の表の通りです。
経過時間 | ハリオV60 | 珈琲考具TDP | タカヒロ雫 |
0s | 92.0 | 92.0 | 92.0 |
30s | 89.7 | 89.0 | 89.1 |
60s | 87.5 | 86.6 | 86.8 |
90s | 85.6 | 84.2 | 85.0 |
120s | 83.8 | 82.3 | 83.0 |
150s | 82.0 | 80.6 | 81.0 |
180s | 80.5 | 79.0 | 78.6 |
3つともフタは閉めない状態で計っています。
実はハリオ V60 の500mlが一番保温性が良いという面白い結果が出ました。
おそらくハリオ V60 の500mlの縦長で開口部が狭いポットの構造が、幅広の珈琲考具TDPやタカヒロ雫よりもお湯が冷めにくいのかなと思います。
ちなみにタカヒロはフタを閉めた場合は3分後の温度が84.3度でした。
やっぱりフタを閉めると少し保温性が上がりますね。
これは覚えておくと良いと思いますが、ドリップ開始から終了までで、大体10度ぐらい湯温は下がるということ。
コーヒーは何度で淹れるのが良いとかよくそういう話が出ますが、実際はこの通り、さまざまな条件で湯温は変化します。
確実に言えることは、なるべく湯温を落としたくない人は、フタを閉めて使うのがおすすめということですね。
ただ、フタを閉めた場合はフタが熱くなります。
淹れ終わった後で忘れて触るとアチってことになりますので注意です😅
ハリオ・珈琲考具・タカヒロ 持ち手
それでは、それぞれのドリップポットの持ち手をよく見てみましょう。
ハリオ V60 ドリップケトル・ヴォーノの持ち手
ハリオ V60 ドリップケトルの持ち手はフェノール樹脂。
耐熱性、難燃性に優れるプラスチックの一種です。
実際に持ってみるとこんな感じ。
持ち手が波型なのも手伝って、すべての指でしっかり握れます。
珈琲考具 ツードリップポットの持ち手
珈琲考具TDPの持ち手はステンレス製。
デザイン的にもスッキリと全体のイメージを壊さずおしゃれな感じ。
持ってみるとこんな感じ。
親指が2本のステンレスの棒の間に収まるようになるので、安定感が感じられます。
ハリオの樹脂製よりもハンドル自体の厚みはないのですが、親指でしっかり安定させられます。
安定感はかえってこちらの方があるかもしれません。
ステンレス製ですが、IHで加熱した場合はほとんど熱くなったりはしないです。
直火で使う人で持ち手が熱くなるのが心配な場合、こんなおしゃれな牛革ハンドルカバーもあります。
タカヒロ コーヒードリップポット雫の持ち手
ハリオ V60 ドリップケトル、珈琲考具TDPとは違い、タカヒロ 雫の持ち手は下の部分がポット本体と接続されています。
ですので、タカヒロ 雫だけは持ち方が異なることになります。
もしかしたら人によって持ち方が異なるのかもしれませんが、僕はこんな感じで持っています。
人差し指だけを中に入れて、親指、人差し指、中指の3本で支える様な感じです。
親指を置く部分は十分な幅があって、また微妙にくぼんでる感じで安定します。
最初は慣れないと、「あれ、どうやって持ったらいいんだろう」って思うかもしれません。
でも、この持ち方、やってみると実は操作がしやすいんです。
この持ち方だと、手首のスナップでポット本体の傾きを調整できるので、細かい動きがやりやすい。
僕は3つの中ではタカヒロの雫が一番細かい調整がしやすいと思いますが、これは後で見るグースネックのカタチや、注ぎ口の形状とも関係しています。
タカヒロ コーヒードリップポットの持ち手は熱くなるか
結論からいうと、IHで加熱した場合、ご覧の通り沸騰直後でも持てます。
直火の場合は熱くなって持てないということもあるみたいです。
ただ、この写真で示している部分、持ち手の下の方の本体と接続している部分1cmぐらいはちょっと熱くなってます。
これは下の付け根部分は、ポットの中のお湯の熱が伝わるからですね。
でも上の写真で青い線で囲んだ部分は、あまり熱くなったりしません。
この部分は持ち手の中が中空になって空気が入っているからだと思いますが、ほとんど熱くなっていません。
なので、僕はIHヒーターで加熱した後も、そのまま直に持ってドリップしますが特に問題ないです。
直火で使う人は少し熱くなっちゃうのかもしれませんね。。。
ハリオ・珈琲考具・タカヒロ 洗いやすさ
では次に洗いやすさを考えてみましょう。
使い勝手という観点では洗いやすさも重要。
ハリオ V60 ドリップケトル・ヴォーノの開口部
ハリオ V60 ドリップケトル・ヴォーノの開口部は、やや狭めの71mm。
縦に細長いデザインのため、開口部は大きく取れないのですね。
手を入れようとすると、4本指でギリギリ。
僕の手だとつっかえてしまって、中までは入らないです。
なので、ちょっと洗いやすさという点ではマイナスですね。
珈琲考具 ツードリップポットの開口部
珈琲考具TDPは広めの開口部で85mm。
もともとフタもない潔い仕様。
ご覧の通り、4本指でも余裕で、中まで手が入ります。
簡単に手を入れて内部を洗うことができますね。
タカヒロ コーヒードリップポット雫の開口部
タカヒロの雫も広めの開口部で85mm。
こちらはフタがありますが、開口部が広めです。
フタを取るとこちらも4本指が余裕です。
簡単に手を入れて内部を洗うことができます。
珈琲考具TDPとタカヒロ コーヒードリップポット雫は、どちらも実用性、使いやすさが考えられた製品と言って良いのではないでしょうか。
ドリップポットの材質 ステンレスについて
ドリップポットの材質ですが、3つともステンレス製です。
ハリオ V60は表記が無いのですが、珈琲考具TDPとタカヒロ雫はSUS304(18-8)ステンレス製。
SUSは「Steel Use Stainless」の頭文字をとったもの。
ステンレスにも実は種類があります。
代表的なステンレスにはSUS304(オーステナイト系ステンレス)、SUS430(フェライト系ステンレス)などがあります。
SUS304は鉄にクロムとニッケルを混ぜた合金のことで、SUS430はクロムだけが混ぜられた合金です。
SUS304は「18-8(じゅうはちはち)ステンレス」と呼ばれることの方が多いですね。
クロムが約18%、ニッケルが約8%入っているということを指しています。
これに対してSUS430は「18-0(じゅうはちぜろ)ステンレス」と表記されることがあります。
珈琲考具TDPは底面だけ「18-0ステンレス」です。
価格的にはニッケルが高価なことから、SUS304の方が高くなります。
両者を比較すると、ニッケルも混ぜたSUS304の方が高い耐熱性を持っています。
また、熱伝導率が低いことから熱を逃しにくい、つまり保温性が良くお湯が冷めにくいという性質を持っています。
SUS304の保温性の良さは、湯温を気にするハンドドリップ愛好家にはポイントが高い点です。
さらに、SUS304の方が錆びにくく、強度も勝っています。
スプーン、フォーク、鍋などの一般的なキッチン用品はクロムのみのSUS430ステンレスが使われていることもありますが、飲食店で使われる製品や工業製品にはSUS304が使われることが多いようです。
開口部のフチの処理
珈琲考具TDPとタカヒロ雫はフチの処理が良いですね。
フチが外巻き加工になっているので、洗った時の水切れが良いんです。
対してハリオV60は内巻きなので、この点は明らかに珈琲考具TDPとタカヒロ雫の方が良いですね。
ということで、開口部の広さとフチの処理で、タカヒロ 雫と珈琲考具TDPは評価が高いです。
ハリオ・珈琲考具・タカヒロ 注ぎ口
さて、この注ぎ口はじっくりと比較したいところですよね。
ドリップポットの機能を大きく左右するのがこの注ぎ口。
上の写真でも分かりますが、製品によってかなり注ぎ口のカタチが違います。
それでは詳しく見てみましょう!
ハリオ V60 ドリップケトル・ヴォーノの注ぎ口
ハリオV60の注ぎ口ですが、下の珈琲考具TDPとタカヒロ 雫と比べてもらうと分かりますが、大きいです。
まぁ、どちらかというとこちらが標準の大きさ、普通のドリップポットなんですが。
それから割とシンプルに管を斜めにスパッと切ったような感じです。
これは実際にハリオ V60で注いでいる写真ですが、左が一番大きく傾けて注いでいて、真ん中が少なめに注いでいるところ。
そして右側が点滴です。
次に珈琲考具TDPとタカヒロ 雫を見ていきますが、ここでは次の2つのことを覚えておいてください。
- 左の多く注いでいる写真を見ると、注ぎ口からかなり遠くにお湯が落ちているということ。
- 右の点滴ですが、できないことはないんですが、きれいに一滴ずつ落とすのは難しい感じ。
では次に珈琲考具TDPではどうでしょうか?
珈琲考具 ツードリップポットの注ぎ口
珈琲考具TDPの注ぎ口は、内径4.5mmの極細仕様。
この極細仕様のおかげで、非常に高いコントロール性能を誇ります。
ハリオ V60と比べると細いのが分かります。
この写真をよく見てください!
左と真ん中の違いが無いんです。
一つ目に確認したハリオ V60との違いがすごく大きいですよね。
ハリオ V60の場合、多く注ぐほどお湯の落ちる位置は遠くの地点に離れていきます。
ですが、珈琲考具TDPの場合は、どんなにポット本体を傾けてもお湯の落ちる位置は真下です。
どんなに傾けても真下なんです。
これってかなりすごいと思います。
もちろんハリオ V60のドリップケトルも使いにくいということではないんですが、珈琲考具TDPがすごすぎるんです。
それと、点滴もしやすいです。
きれいに一滴ずつの点滴もできます!
ただし極細仕様なので、逆にあまり太くは注げません。
だから3杯、4杯と作るのには向いていないですね。
この写真、珈琲考具TDPの注ぎ口を拡大したものですが、先っちょが微妙な造形になっています。
下にお湯を落とすために、クイっと曲がってます。
お湯のコントロールがしやすいように、かなり工夫されているんですよね。
これと後で見るグースネックのカタチによって、お湯が真下に落ちる仕掛けになっています。
珈琲考具TDPは、とにかく何があろうと真下にお湯が落ちていきます。
この真下にお湯を落とす性能では、ダントツにこのドリップポットが優秀なのではないでしょうか。
直線番長です。
どんなことがあってもお湯は曲がらずに真下に真っ直ぐ落ちていきます。
タカヒロ コーヒードリップポット雫の注ぎ口
タカヒロの注ぎ口、きれいなんですよね。
これはやはり価格差が出ているのかなと思います。
見た目でも分かりますが、触ってもツルリンとしています。
滑らかな仕上げが施されているんです。
そしてタカヒロのドリップポットの中でも「雫」シリーズは従来品よりも4mm細くなった極細の注ぎ口です。
珈琲考具TDPよりほんの少し太い感じですが、同じように細く出しやすいです。
珈琲考具TDPと同じように、タカヒロ 雫も細く注ぐのが得意です。
多く注いだ時も、ハリオ V60のように遠くまで行ってしまう感じはなく扱いやすい。
写真だと分かりにくいのですが、ハリオ V60は多く注いだときに水流がやや揺れるような感じに暴れるのですが、タカヒロ 雫にはそれがありません。
多く注いだ時も滑らかな注ぎ心地なのです。
珈琲考具TDPほど極端に真下ではないのですが、自然な感じでほんの少し先にお湯が落ちる感じです。
タカヒロ 雫の場合は、この「自然な感じ」が特徴です。
それと点滴がすごくやりやすい!
タカヒロ 雫も、きれいに一滴ずつの点滴ができます。
点滴のやりやすさは珈琲考具TDPと甲乙つけがたいところ。
どちらも点滴に関しては一級品と言ってよいでしょう。
この写真を見てもらうと分かると思いますが、雫の注ぎ口は3段階で角度が変化しています。
2つ上の雫の注ぎ口の写真でも分かりますが、雫は注ぎ口が縦長で、そして段階を経て滑らかに下向きになっています。
この丁寧な注ぎ口の変化が、まさに注ぎ心地に繋がっているのではないかと思います。
とにかく注ぎ心地が自然で滑らかなんです。
どう表現すればいいかのなと思うのですが、細く注いでいる状態から多く注いでいる状態へ無段階に滑らかに移行するというか。
継ぎ目がない感じで注ぐ量が変化します。
なんというか、「ああ、高いポットなんだなぁ」という満足感が湧きます。
多くの人が褒めるのが分かるというか。
ハリオ・珈琲考具・タカヒロ グースネックのカタチ
皆さん、これ気にしてますかね。
実はこのグースネックのカタチの違いは、使い心地に関係する要素としては、地味ですが結構大きいと思うんですが。
この写真でも分かるように、それぞれ同じグースネックと言ってもかなりカタチは違っています。
グースネック対決 ハリオ V60 vs タカヒロ 雫
この2つのドリップポットのグースネックは形状的には似ています。
同じタイプと言ってもいいかもしれません。
でもハリオ V60の方が、最後に上を向いたまま終わっているのに対して、タカヒロ 雫は少し下向きになっています。
それに加えて注ぎ口の形状の違いが加わり、最終的にはかなり違った注ぎ心地になります。
これはやはり最後まで丁寧に仕上げて、滑らかで自然な注ぎ心地を実現したタカヒロ 雫の圧勝でしょうか。
でも、まぁ価格が違いますからね。。。😅
グースネック対決 珈琲考具TDP vs タカヒロ 雫
この2つのグースネックは、かなり違った形状です。
珈琲考具TDPの方がすごく変わったカタチなんですよね。
珈琲考具TDPでは、グースネックは本体の傾きと平行に近いぐらいまで立ち上がり、その後、カクカクっと反対側に2回曲がって下を向きます。
そして2回目の曲がりはかなり急に下を向いています。
この2回目の急激な曲がりのおかげで、お湯は勢いを殺され、下に向かって落ちていくのですね。
珈琲考具TDPの下向き性能は、このグースネックの曲がりも大いに関係しているのではないかと思います。
対してタカヒロ 雫は滑らかな曲線を描くグースネックです。
この勝負はどちらが勝ちというよりも、狙いの違い、思想の違いと言った方が良いのかもしれません。
どこまでも真下へ落とすことにこだわった珈琲考具TDPと、自然な範囲でお湯の落とし所を収束させているタカヒロ 雫。
勝ち負けというよりは、それぞれが達成した高みに感心しつつ、それを楽しむのが正解なんだと思います。
ハリオ・珈琲考具・タカヒロ 操作性が良いのは?
さて、ここまでいろいろと見てきましたが、総合的に見て操作性が良いのはどのドリップポットでしょう。
最初に書いたようにポイントは2つです。
- お湯を注ぐ量のコントロール
- お湯を落とす位置のコントロール
上で見てきたように「お湯を落とす位置のコントロール」という点では、珈琲考具TDPが一番です。
しかし上でも書いたように、珈琲考具TDPは注ぎ口が極細仕様であるがゆえに、太くは注げません。
「お湯を注ぐ量のコントロール」も含めて考えた場合、総合的にはタカヒロ 雫が一枚上手ということになります。
珈琲考具TDPほど真下には落ちないですが、その滑らかな注ぎ心地もあって、十分にコントロールはしやすい。
それと、もうひとつ。
ポット本体をどれくらい繊細に動かせるかという点を考えてみます。
基本的に注ぐお湯の量をコントロールするためには、ドリップポットをどれくらい傾けるかで調節します。
お湯が注ぎ口から出ないように水平に持った状態から、少しずつ傾けていくと、あるところからお湯が落ちだすわけです。
大きく傾けるほど多くのお湯が注がれます。
細く注ぎたければ少なく傾けます。
つまりドリップポットの傾きを微妙に調節しやすいと、お湯の量がコントロールしやすいということになります。
そういう観点でこの3つのドリップポットを比べてみると、実はタカヒロの雫がそこをコントロールしやすいということに気づきます。
なぜでしょう?
持ち手のところで書いたように、タカヒロの雫の場合、親指、人差し指、中指でポットを支えるような持ち方になります。
これは実際にやってみると分かりますが、そういう持ち方になった場合、ドリップポットの傾きは、手首を微妙に斜めに振るようなスナップ的な動きでコントロールするような感じになります。
これに対してハリオ V60とツードリップポットでは、すべての指を使って持ち手を握るようなカタチになります。
そうするとドリップポットを傾けようとすると腕の部分まで少し連動する様な感じで手首を縦に曲げるような動きになるので、タカヒロの持ち方に比べてやや硬い手首の動きになります。
ツードリップポットの方はかなり下向きの注ぎ口なのでハリオ V60よりも傾けやすいですが、タカヒロの雫の方がやはり動かしやすいです。
つまりタカヒロの雫は、すごく微妙な違いではありますが、ハリオ、珈琲考具に比べて手首や指だけを使った繊細なコントロールがしやすいのです。
注ぎ口の形状が極細仕様か通常の注ぎ口の仕様なのかということも確かに影響は大きいです。
極細仕様のタカヒロの雫と珈琲考具のツードリップポットが、ハリオ V60に比べて細かいコントロールがしやすいのは確かです。
ですが、注ぎ口の仕様の違いは、ドリップポットの基本性能として「細く注ぎやすい」ということを保証するものではありますが、ポット自体を動かす操作性とは少し異なる特徴です。
とはいえ、一度に淹れる量が2杯分までであれば、そんなに多くの量のお湯を注がなくても大丈夫なので、極細のコントロールのしやすさによって享受できるメリットは大きいと思います。
ハリオ・珈琲考具・タカヒロ 比較のまとめ
それではランキングです!
タカヒロ コーヒードリップポット雫
- 滑らかで自然な注ぎ心地
- 太くも細くも注ぎやすく点滴もしやすい
- 高級感のある仕上げ
価格はやや高いが操作性が良く満足感あり
珈琲考具ツードリップポット
- とにかく真下に注げる
- 2杯分ぐらいまでを丁寧に淹れるのに最適
- 点滴もやりやすい
中級クラスのドリップポットとしてバランス良し
ハリオ V60 ドリップケトル・ヴォーノ
- 価格も安く初心者がハンドドリップを始めるのに最適
- 細かい操作性は上位機種には劣るが必要十分ではある
- IH対応が要る場合は600mlを
ドリップポット入門用としておすすめ
今回比較した3つのドリップポットですが、価格と操作性・使い心地は比例するという結果ですね。
ただし、最初からタカヒロを買う必要はありません。
ステップアップの楽しみは取っておいてもいいと思います。
ハリオ V60 ドリップケトル・ヴォーノ 500mlは安かろう悪かろうではないです。
コスト・パフォーマンスは非常に良い製品。
珈琲考具ツードリップポットはバランスの取れた良い製品。
おそらく多くの人が満足するのではないでしょうか。
タカヒロ コーヒードリップポット雫はやはり使いやすい。
滑らかな使い心地というか、点滴から細めにお湯を落としたり、多めに注いだりということが自由にストレスなくできる。
良いコーヒードリップポットの選び方
いろいろと比較してきましたが、良いドリップポットの選び方です。
ここでは一人用から二人用でハンドドリップで使うという前提で考えてみます。
ドリップポットの選び方❶ 基本性能
ドリップポットの基本性能ということで、以下の2つをまずは押さえましょう。
- 注ぎ口は細めの仕様を選ぶとお湯の量や落とす位置がコントロールしやすい
- 開口部は広めが洗いやすくて良い
ドリップポットの選び方❷ 電気か直火か
どうやって加熱するか、それに合わせた仕様を確認。
- IHに対応しているか
- 自分の使うIHヒーターの最小底径を確認
- 直火はどれも使えるので気にしなくて良い
ドリップポットの選び方❸ 持ち手とグースネック
最後に持ち手とグースネックを確認。
微妙な操作性がこれで決まります。
- 直火派ならば樹脂製やカバーが使える持ち手が便利
- IH派であれば好みの持ち手でOK
- 持ち手とグースネックのカタチも扱いやすさに関係してるので考えてみて!
あなたならハンドドリップの最後の仕上げにはどれを選びますか?
良いドリップポットを手に入れて、美味しいコーヒーを楽しんでください!
おまけ:他にも良いドリップポットあります
KINTO (キントー) SCS ケトル 900ml
カリタ ウェーブポット 1L
ハリオ プアコントロールケトル・粕谷モデル
Brewista アルティザングースネックバリアブルケトル
コーヒー、道具に凝りたくなります。
おすすめのコーヒー通販