
もくじ
コーヒーはどこで作られているの?
あまり知られていない事実だと思いますが、コーヒーは実は石油に次いで2番目に取引量が多い貿易産品です。
本当に世界中の人から求められている飲み物なんですね。
では、それだけの量のコーヒー豆はどこで栽培されているのでしょうか?
答えは「コーヒーベルト」でということになります。
コーヒーベルト:コーヒー豆の栽培地域(北限・南限)

上の世界地図で示しているように、コーヒーは「コーヒーベルト」と呼ばれる赤道をはさんだ南北緯約25度のエリアで生産されています。
全世界のうち60数カ国でコーヒーは生産されていますが、それらの国々はこの薄い赤色で示した範囲に位置しているのです。
例外ももちろんありますが、代表的な生産国はコーヒーベルトにあると言ってよいでしょう。
温室などを除けば、この北緯25度がコーヒー栽培の北限、南緯25度が南限となります。
ではなぜコーヒーベルトに生産地域が集中するのでしょうか。
理由は地理や気候面でコーヒー豆の栽培に適した条件があるからです。
では次にその地理・気候条件を見てみましょう。
ちなみにコーヒーベルトはコーヒーゾーンと呼ばれることもあります。
コーヒー栽培に適した地理・気候条件
- 年間を通じて平均気温20度C前後
- 1,200〜3,000mm程度の年間降水量
- 適度な日照
- 適度な寒暖差
- 霜は禁物
こうした条件に加えて、肥沃で水はけがよく有機物を多く含んだ火山岩質の土壌が、コーヒー栽培にはもっとも適したものとなります。
中米のスペシャルティコーヒーの産地は火山の近くというところが多いですね。
赤道をはさんで南北緯約25度の範囲には、こうした条件を満たす地域が多いことから、コーヒーベルトに生産国が集中しています。
コーヒーベルトの国々(コーヒー生産国)

コーヒーベルトは大きく分けて次の三つの地域になります。
- 中南米
- アフリカ
- アジア・太平洋地域
流通しているコーヒーの品種
流通しているコーヒーにはアラビカ種とカネフォラ種の2種類があります。
いわゆるスペシャルティコーヒーはアラビカ種です。
カネフォラ種は主に工業用、業務用に使われることが多い品種です。
味わい的にはアラビカ種の方が優れていますが、カネフォラ種の方が病虫害に強く、また単位面積あたりの収穫量も多いことから、この二つの品種を掛け合わせたハイブリッド種も作られています。
この両方を栽培している国もあれば、片方だけしか栽培していない国もあります。
以下の表では、どの生産国がどちらの品種を栽培しているかが分かります。
地域や国によって生産しているコーヒーの品種には特色があります。
1. 中南米

中南米はアラビカ種中心の国が多く、スペシャルティコーヒーの代表的な産地が多いです。
南米
| アラビカ種 | カネフォラ種 | |
| ブラジル | ○ | ○ |
| コロンビア | ○ | |
| ベネズエラ | ○ | |
| エクアドル | ○ | ○ |
| ペルー | ○ | |
| ボリビア | ○ | |
| パラグアイ | ○ |
中米
| アラビカ種 | カネフォラ種 | |
| メキシコ | ○ | |
| グアテマラ | ○ | ○ |
| ホンジュラス | ○ | |
| エルサルバドル | ○ | |
| ニカラグア | ○ | |
| コスタリカ | ○ | |
| パナマ | ○ | |
| キューバ | ○ | |
| ジャマイカ | ○ | |
| ハイチ | ○ | |
| ドミニカ | ○ |
2. アフリカ

アフリカは両極端に分かれており、アラビカ種でフレーバーに特色のあるコーヒー豆を栽培する国と、カネフォラ種中心の国に分かれている感じです。
| アラビカ種 | カネフォラ種 | |
| エチオピア | ○ | |
| ケニア | ○ | |
| イエメン | ○ | |
| ルワンダ | ○ | |
| ブルンジ | ○ | |
| タンザニア | ○ | ○ |
| マダガスカル | ○ | ○ |
| モザンピーク | ○ | |
| マラウイ | ○ | |
| ジンバブエ | ○ | |
| ザンビア | ○ | |
| ウガンダ | ○ | ○ |
| コンゴ民主共和国 | ○ | ○ |
| アンゴラ | ○ | |
| コンゴ共和国 | ○ | |
| ガボン | ○ | |
| 中央アフリカ | ○ | |
| カメルーン | ○ | ○ |
| ナイジェリア | ○ | |
| ベナン | ○ | |
| トーゴ | ○ | |
| ガーナ | ○ | |
| コートジボワール | ○ | |
| リベリア | ○ | |
| シエラレオネ | ○ | |
| ギニア | ○ |
3. アジア・太平洋地域

アジアはカネフォラ種中心に生産量を拡大している印象が強いですが、インドネシアやインドでは特徴的なアラビカ種のスペシャルティコーヒーもあり、根強いファンがいます。
| アラビカ種 | カネフォラ種 | |
| インド | ○ | ○ |
| マレーシア | ○ | ○ |
| インドネシア | ○ | ○ |
| 東ティモール | ○ | ○ |
| ネパール | ○ | |
| ミャンマー | ○ | ○ |
| タイ | ○ | ○ |
| ラオス | ○ | ○ |
| カンボジア | ○ | ○ |
| 中国 | ○ | ○ |
| ベトナム | ○ | ○ |
| フィリピン | ○ | ○ |
| パプアニューギニア | ○ | ○ |
| オーストラリア | ○ | |
| ハワイ | ○ | ○ |
日本でのコーヒー栽培はある?
少し前に沖縄のお土産でコーヒーのドリップパックをもらいました。
そのコーヒーは沖縄で栽培しているとのことだったので、日本でもコーヒー栽培に取り組んでいる方がいるんですね!
本州でも最近はビニールハウス(温室)で栽培しているところもあるみたいです。
商業ベースに乗る生産量に持っていくのが大変そうですが、頑張ってください!
コーヒー栽培と気候変動:2050年問題

温暖化により2050年にはコーヒー栽培に適した土地は大幅に減るという論文が発表されています。
温暖化の影響でコーヒーベルトの北限・南限はやや広がるようです。
しかし一方で、現在コーヒー栽培に適している地域が適さなくなってしまう方が多いんですね。
上に書いた気候条件
- 年間を通じて平均気温20度C前後
- 1,200〜3,000mm程度の年間降水量
といったものが温暖化によって崩れると、デリケートなアラビカ種の栽培には厳しいのでしょう。
うーん、これは困るなぁ。。。
温暖化に対して品種改良で対応しようとしている動きもあるようなので、生産量だけ見れば単純に論文通りの結果にはならないかもしれません。
ですが、温暖化が進んでしまうと、農園を移動するというのは簡単にはできないですし、きめ細かい管理のもとで栽培されている美味しいアラビカ種には影響はどうしても出てくるでしょう。
コーヒー好きのみなさん、温暖化はやっぱり少しでも防ぎたいですね!